難しいけれどおもしろい、哲学の本
*哲学って難しい?
正直、自分も詳しいわけではありません。
専門書も読んだこともないです。
しかし、双極性障害を患って自分の存在意義を
考え直した時に、色々考えることがありました。
*入門書だけれどもおもしろい
そんなときにAmazonで見たのが
これ。
作者が「刃牙」というマンガのファンだったので、
(自分もそうなんですが)
その作者に表紙を依頼したと言う、
ファンからすると何ともうらやましい本です。
そういう点も含めてネタ本かと思っていましたが、
実際に読んでみると、これが色々な意味で面白かった。
*ネタ的におもしろい
サブカルチャー(アニメとかマンガとか)のネタを
文章の中に紛れ込ませて、ネタ的に盛り上げてくれます。
でも、それだけではありません。
*哲学が難しく感じられる理由の説明がおもしろい
一般的に難しいと思われている哲学ですが、
題材にしている根源的なところは
「生きる意味」
とか
「自分の存在って何だろう」
とか、誰でも一度は考える身近なテーマです。
では、身近なテーマを扱っているのに、
何故難しく感じられるのでしょうか?
その理由をばっさりと説明しています。
曰く
「いきなり結論から入ろうとするから」
*哲学の発展を知らないと、哲学は理解しづらい
哲学は数学などと同じで、
段階を踏んで発展してきました。
この本を読むとわかりますが、
哲学はある時代に主流になった考えを、
次世代で全然別の視点で見直したり、
ひどいときは、バッサリと否定したりことで
発展していきました。
逆に言えば、前の世代で主流だった哲学の
テーマや考え方を知っておかないと、
次の世代で何故そんな考え方をするように
なったのかがわからないのです。
*デカルトの名言の目的
デカルトという有名な哲学者がいます。
この本でも取り上げられているのですが、
「我思う。故に我あり」
有名な言葉があります。
デカルトが
「本当の真実とは何か?」
を求めるために
「まず、絶対に疑いようのないものを探そう」
というアプローチを行った結果、
「世の中の、ありとあらゆるものを疑ったとしても
『疑っている自分』の存在だけは疑いようがない」
という結論です。
デカルトの言葉は確かに有名なのですが、
しかし、その当時の哲学の混迷の状況を知らないと
何故、彼がこんなことを考えたのかが理解できません。
(詳しいことは、本を読んでみてください。
そして、この言葉を求めた目的に対して、
その後の展開が実に皮肉でした)
*きちんと咀嚼している
一般受けを狙っている部分もあると思いますが、
哲学の思想と歴史を十分に咀嚼した上での
味付けだと思いますで、エンターテイメント本として
合格点でした。
本自体も面白いですし、哲学をざっと見渡す意味でも
おススメです。
ではでは。