環境ISOを軽んじてはいけないたった一つの理由
*割と軽んじられる環境ISO
うちの会社は品質ISO(ISO9001)と環境ISO(ISO14001)を
取得しています。しかし社内での力の入れ方は
品質 > 環境
という感じです。
これはうちの会社だけでなく、中小企業ではその傾向が強いのではないでしょうか?
*環境ISOは目に見えるメリットが少ない
環境ISOが軽んじられる理由としては、
『環境ISOを頑張っても利益に繋がらない』
ということが上げられると思います。
品質ISOは、ものづくりの会社であれば品質の向上(あるいは維持)の
仕組みですから、その維持管理に力を入れた分は
キチンと品質という目に見える形で成果が表れます。
しかし、環境ISOはそもそもの目的が「自然環境の悪化を防ぐ」
であり、「予防」が主眼になります。なので、力を入れても
その成果は目に見える形に現れません。
せいぜいで、「周辺環境に問題を起こさなかった」という
現状維持という成果くらいです。
更に言えば、お金や手間暇を掛けても製造する製品のQCD
(品質、コスト、納期)の改善には直接は繋がりません。
(むしろ、手間や手続きやコストが増えるので悪化する可能性すらある)
単純に経営や生産効率の観点から見れば、環境ISOは無駄な作業です。
(ああ、環境ISOの事務局やっているの言い切っちゃった…)
*ISOの規格を検討してる人達もそれをわかっている
環境ISOは 2015年に規格が更新されました。
自分も、うちの会社の規格の更新を任された記事を書いています。
この規格の更新のポイントに
「環境への取り組みと経営を1つにすること」
「経営者の環境への取り組みの強化」
というものがあります。
簡単に言えば、
「環境への取り組みと、事業などの経営を別物にせず、
事業として利益を挙げる取り組みに環境への取り組みを
一体にして行うようにしなさい」
「経営者は部下に押し付けたりせず、自分の責任で
環境への取り組みを進めなさい」
ということです。
新しい規格でわざわざこういう要求を追加したということは、
逆に言えば、
「環境対応をコストがかかる部門と割り切って、
その部門だけで対応させる」
とか
「環境管理責任者に全てやらせて、
経営者は全くタッチしない」
という対応をとるところが多かったわけであり、
また規格を作った人たちもそういう状況を把握していたわけです。
それくらい環境ISOは軽んじられているわけです。
*それでも環境ISOに力を入れざるを得ない理由
それは、品質ISOと違い、環境ISOの手を抜くと
法律違反になる可能性が非常に高いからです。
実際、環境ISOの規格の中には
「順守義務」
という章が存在していて、法律や条例などを順守していることを
確実にすることが求められています。
「品質問題」と「法律問題」を比較すると、問題になった時のダメージの大きさでは
「法律問題」の方が圧倒的に大きいです。
法律違反は、企業の社会的な信用度へのダメージが致命傷になりかねません。
下手をすると、経営者の手が後ろに回ってしまいます。
「環境保全」とか「自然に優しい」とかいろいろなキレイ事が出回っていますが、
環境ISOを推進する理由の一つとして、こんな「強制力」が存在しているのだと、
勝手に思っています。
ではでは。